保冷剤に「エチレングリコール」という成分が入っている場合
犬や猫が舐めると中毒死する危険性がある
たくさんの人に知ってもらいたい
おかーさんの教科書的な存在のブログ
文太部長一家のロハスな毎日からの転載です
2010年6月29日の記事です
先日のひんやりジェルマットの記事をたまたまご覧になったくーさんという方からご忠告をいただきました。
その内容はというと、くーさんのワンちゃんは以前ジェルタイプのシートを破り、中身を誤食して中毒死した、というものです。
ご紹介したひんやりジェルマットの中身は「吸水ポリマー(高分子吸水剤)」というものです。これは、赤ちゃんのオムツなどにも使われているもので(ペット用のトイレシートなどもそうです)、口に入れても多少であれば中毒性などの問題のないことが確認されているものなので、あえて書きませんでした。(ただしその他、防カビ剤も入っているので食べても大丈夫、という意味では決してありません!)
問題なのは、凍らせても固まらないタイプの保冷剤によく入っている「エチレングリコール」という成分です。亡くなったくーさんのワンちゃんも、このエチレングリコール中毒だったそうです。
エチレングリコール中毒について、詳しく書かれた獣医さんの記事がありますので、そちらを転載させていただきます。
以下、茶色字部分は『どうぶつ病院診療日記』 2009年8月8日の記事
「エチレングリコール中毒に注意!」より転載
夏と言うのは言わずもがな、暑くてまいる季節です。
夏場に注意が必要なのは熱中症ですが、熱中症とは別に、暑い季節に気をつけないといけないこともあったりします。そのひとつが「エチレングリコール中毒」というものです。
夏場に暑さ対策として重宝されるものに、「アイスパック」があります。
これはジェルの様なものを冷凍庫で冷やしておいて、それを首に巻いたり頭に巻いたりして、ひんやりさせて暑さをしのぐものです。
頭に巻くベルトタイプのものは、暑い時に頭に巻くとあたまがすっきりしますので、本を読んだりするときなどは僕もよく使っています。
ところで気をつけないといけないのは、頭に巻いているだけならもちろん何の問題はないのですが、かじったりしたときに、中に含まれている成分を口にすると、中毒を起こしてしまう可能性があるという事です(ワインに甘み成分として混入し、人が死ぬと言う事故は今も世界中で起こっているそうです)。
中身の成分が高分子ポリマーなどだけであれば問題はないと思われますが、怖いのは、「エチレングリコール」が成分として入っている場合です。
エチレングリコールは甘い味がするため、動物がかじって穴を開けた場合、中から出て来たものを喜んでぺろぺろと舐めてしまう可能性があります。すると、エチレングリコール中毒になってしまう可能性があります。
エチレングリコールは肝臓で代謝され、グリコアルデヒドやグリコール酸エステル、シュウ酸エステルなどが産生されます。時間とともにどの代謝産物が作られるかによって臨床症状が異なります(だから、熱中症かなと思ってみていたら、実はエチレングリコール中毒だったという事もあり得るのです)。
ステージ1は最初の30分から12時間で起こるもので、嘔吐、精神状態低下、神経症状、多飲多尿が見られます。
ステージ2は12~24時間で見られ、貧脈や呼吸速迫が起こります。
最終段階のステージ3は半日~一日以上たってからなるものですが、最終的に産生されたシュウ酸カルシウムによって腎臓がダメージを受け、腎不全になって高率で死亡します。
エチレングリコールが怖いのは、「なんかふらふらしているけど様子を見よう」と言っていると、あっという間に腎臓までやられてしまい、腎不全で死んでしまうという事です。
しかも、ステージが進んだ後で治療を始めても、もうすでに体の中ではシュウ酸カルシウムが作られてしまい、手遅れになってしまいます。
治療としては、早く連れて来てもらった場合は吐かせたり、胃洗浄を行ったりもしますが、もう体がエチレングリコールを吸収してしまっている場合は、「エタノールの静脈注射」が基本的な治療となって来ます。
これは、肝臓で 「エチレングリコール→代謝→毒性物質」 という変化が起こる前に、肝臓の同じ代謝回路でアルコールを代謝しないといけないようにさせ、エチレングリコールの代謝を競合阻害させようと言うものです。
エタノールを注射すれば、当然血中エタノール濃度が上がって体は酔っぱらうのですが、エチレングリコールが分解されてシュウ酸カルシウムが作られてしまえば、動物は死んでしまいますので、犬が酔っぱらった状態になってふらふらになろうが、そんな事は言っていられません。
問題は、エタノールの注射が間に合うか、ということです。注射をしたとしても、時間が間に合わずにエチレングリコールが分解されて、毒性物質が作られてしまえば、それでもう"アウト"です。
また、エタノールを入れて競合させても、あまりに多くのエチレングリコールを体が吸収してしまっていれば、競合しきれず、毒性物質が作られてしまう可能性があります。
僕も以前、アイスノンを食べた犬を治療してところ、治療の甲斐なく死んでしまった事がありますが、他の獣医師と話をしていても、「症状が出て来たら、だいたい死んじゃうね」ということで、死亡率の高い、怖い中毒であるのは間違いないようです。
ポイントを抜粋しておくと、
・身近にある中毒物質なのに、危険性を知らない人が多い
・「パックを食べた」たという禀告がないと、診察してもまず分からない
・毒性物質が出来てしまった後ではほぼ手遅れ
ということです。
早い対処が必要なのに、症状が分かりづらく、気づいた後では手遅れになっている可能性があるのが怖い中毒です。 (※赤太字はおかあはん)
血液検査にしても、初期には腎臓の数値は高くありません。シュウ酸カルシウムが作られて腎臓がダメージを受け始めると、しだいに腎臓の数値が上がって来るのですが、数値が上がって来る段階になったら、それはもうほぼ手遅れという事を意味しているのです。
一番有名なアイスパックというと「アイスノン」ですが、実はこれにもエチレングリコールは入っているため、かじって遊んでいたりすると、エチレングリコール中毒になって死亡してしまう可能性があります。
他にも、アイスパックで"食べてはいけない"と書いてあるものは、エチレングリコールを含んでいる可能性がありますので、家にアイスパックがある方は、一度、内容成分を確認しておいた方が良いと思います。
暑い季節は、動物用の暑さ対策としてアイスパックを下にしいてあげるという人も多いとは思いますが、かじって遊んでいるうちに、甘いので喜んで舐めていて、中毒となって死亡してしまうという可能性は十分すぎるほどありますので、「食べられません」と書いてあるアイスパックを、動物のところにおきっぱなしにするという事は止めておいた方が良いと思います。
日常の生活の中にも、実は危険というものは案外潜んでいるものですので、よかれと思って用意してあげたもので、思わぬ事故を起こさないようにご注意いただきたいと思います。
保冷剤自体が危険だということではもちろんありません。
問題なのは中身を食べてしまうことです。
文太は放っておいても袋を破いて食べることはまずないと思いますが、
そこは犬。100%大丈夫ということはありえませんので、
保冷剤をつけたままひとりには絶対にしません。
中身がエチレングリコールだと分かっている場合は始めから使わない方が無難ですが、成分まで記載されている保冷剤は少ないと思いますので、保冷剤を使うときは必ず飼い主の目の届く範囲で使用し、特に破壊癖や拾い癖のある子は充分に気をつけてあげて、留守番時などは犬がひとりでいるときは使用しないでください。
そして、万が一食べてしまった場合は迷わず即病院へ!!!

今日の体重
クッキー2.99キロ
シュガー0.79キロ
ソルト2.34キロ
交配後56日目
ソルトのおなか周り39㎝(+19㎝)
朝の体温37.7℃



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